テンポラリー

そのときに思いついたことの備忘録。租税について考えることが多い

名護市長選(沖縄)、南相馬市長選(福島)…なぜ負けたのか

2018年2月4日、沖縄県名護市長選で、辺野古基地移設反対の稲嶺進市長(現職)が負けた。

また少し前、2018年1月21日、福島県南相馬市長選で、脱原発を掲げていた櫻井勝延市長(現職)が負けた。

 

なぜ負けたのかというか、終わってみると、負けるのはほとんど必然だったと言っていいかもしれない。

2017年、2018年は、ほとんど自民党の地方選挙常勝パターンができあがった年なんだと思う。

その方式は

1.アベノミクス・異次元の金融緩和と消費税増税によって国全体の経済政策をだめにする。

2.財政難を理由に地方交付税交付金補助金社会保障費支出を抑制し、地方財政を引き締める。

3.地方選で、国政とのパイプを持ち、お金を引っ張ってくる能力をアピールする人が当選する。

という単純なもの。

 

そしてこれができるのも、諸悪の根源は赤字国債を垂れ流すという財政運営に起因している。

73年のオイルショックが起きる前までは、建設国債を覗いて国債は基本的に発行しなくてよいことになっていたわけで、議員が何かしらの政策事業を要求してきても大蔵省は「いや、もう予算がありませんから」で突っぱねることができていたのだが、オイルショック以降、赤字国債の発行を解禁すると、政権与党が予算編成段階で口出しをすることができるようになった。そして口出しをするため、その部門の知識を持った議員が力を持つようになり、道路族、厚生族といったいわゆる「族議員」という存在を生み出したのだ。

族議員という言葉は以前よりはニュースなどでも聞かれなくなったが、形を変えて今も残っている。今は内閣官房が非常に強い力を持っている(ちょっと前までは官房長官というポスト名すら何それ?という感じだったのに)ので、当該部門の知識とともに首相等の上級閣僚にパイプを持っているということが重要になってきている。

財政悪化によって、なにかの事業支出をするときに様々な細かい制限や要件を付け加えることが非常に多くなってきている。このときに、地元からの要請をうけた議員が、要請自治体もその事業にあずかれるように細かいところで政権中枢経由で口を挟む。これは野党には絶対できないことだ。

このような70年代の制度の欠陥が、2000年代の政治改革と相まって、今になって響いてきた。これが嫌なら政権そのものを変えるしかない。

 

あるいは、赤字国債に頼らない財政運営が必要ということで、新しい財源が必要だということになる。ここで僕自前の株式納税(株式課徴)を推したいところなんだがどうだろう。金の代わりに株式で徴収して、それを市場で売って収入を得るのではなくて、持ち続けて、企業から分配金を得る。大会社だけでなく中小零細企業の株も集めれば、すべての株式から分配金を得られるように平等な経済政策を求めることができる。非上場株式でも譲渡制限株式でも、租税という不条理な権力であればたやすく、コストゼロで徴収できるだろうに。